地球上に存在しない会話
「This is a pen.」
誰もが中学英語で割と序盤に習う文法で、同時に「実際使わないよね」とよく槍玉に上がる一文でもある。
因みに彼氏Yはよく使う。
私に何か自分のことや部屋のことを説明してくれる時、
「僕はYです」
「ここは部屋です」
から説明が始まる。
私はYになんだと思われているのだろうか。
聞いてみたら、「ニンゲン」と言われた。
Yは違うのだろうか。怖い。
今日はYと花火大会に来ている。
賑やかな出店の数々を眺めながらYは目をキラキラさせる。
「ねえヨーヨーだよ!」
「荒野行動クジがある!!」
「ねえ見てなっつん!!子供!!!」
「家があるよ!!!」
最後の方はべつに祭り関係ない。
Yは喋るのが下手くそだ。
別にコミュ障ではないしむしろ気さくなんだけど、日本語が下手だ。
今も、
「花火の打ち上げ場所を上下反転して風下に行きたい」とか言ってる。
出店には白い粉とかは売ってないはずだが。
会場で、Yの友人らと合流した。
彼らはこのブログを読んでくれているらしく、
「Yさんヤバイ人ですね。知ってたけど」
みたいな感想をくれる。
何をしても「ブログのネタ作るのやめて下さい!!」と言われる。
作ってない。
暗くなり始めた空を見上げて思う。
Yは宇宙人か何かで、もしかしたら花火の打ち上げ場所を上下反転して風下にして花火見物とかが出来るのかもしれない。
だから日本語が苦手なのかもしれない。
浴衣はやけに似合っているしレフ板みたいな顔面だけど。
もうすぐ花火が打ち上がる。
彼は夜空の故郷を見て何を思うのだろうか。
This is a pen.とか、彼の故郷では使うのかもしれない。
ただ
私が買った哺乳瓶ソーダのライトで宇宙と交信するのはやめてほしい。